審査員スペシャルインタビューVo.04 〜佐藤彦大先生〜
- 6月11日
- 読了時間: 5分
国内外の若いピアニストたちにとって、新たな挑戦の場となる「国際ソリストコンクール ピアノ部門」。
今回が記念すべき第1回の開催です。
まだ始まったばかりのコンクールですが、
私たちはここを、演奏する人と聴く人がまっすぐにつながる場所にしていきたいと考えています。
このコンクールが特別なのは、“聴く力”と“導く力”を兼ね備えた『審査員』の存在です。
演奏技術だけでなく、その人がどんな音楽を奏でようとしているのか――
そんなところまで丁寧に耳を傾けてくださる、心ある先生方が揃っています。
このインタビューシリーズでは、審査にあたる先生方の音楽への想いや日常、
そして教育者としてのまなざしに触れながら、
これから舞台に立とうとする皆さんに、「このコンクールで挑戦したい」と思っていただけるきっかけをお届けしていきます。
コンクールを「試される場」ではなく、
「自分の音楽を届ける場」として感じてもらえるように――
そんな想いを込めて、お届けします。

ピアノの道に進みたいと思ったのは、何歳頃ですか?
その際、例えば学校(勉強・宿題など)とピアノの両⽴はどのようにされていましたか?
6歳の時、学校の音楽鑑賞会でモーツァルトの「トルコ行進曲」を聴いてピアノを始めてみたいと思いました。次の年には七夕の短冊に「ピアニストになりたい。」と書いたくらいなので、その時には既に目標になっていました。
中学生になり忙しくなってからは、練習が終わって寝るまでの1時間程度で宿題を済ませていましたが、電気を付けたまま寝落ちすることもしばしばあり…目が覚めた時に頑張って処理していました。
オフの日は何をして過ごしますか?また長期の休みがあればどう過ごしたいですか?
気力、活力を回復させることを第一に考えます。体がもう充分と言うまで寝たり、緑が多いところに行ったりします。昔から多くの作曲家が「自然」から音楽のインスピレーションを得ていましたし。自然の中にいると日常で擦り減った心が癒され、思考がクリアになります。
もし長期の休みが貰えたら、きのこや菌類の資格を取るための勉強時間に使うと思います。私はきのこ採集が大好きなので。あるいは自転車で何日もかけて知らないところへ遠出してみたいですね。
今まで数多くのコンクールに参加されたかと思います。
その中で思い出したくもないくらい「やらかしてしまった…」と言う黒歴史はありますか?
暗譜が飛んだ・ワープした、等のトラブルがこれまで全く無かったわけではありませんでしたが、演奏時間が過度に不足していたため失格になりかけたことがありました。このような失敗をしないためにも、皆さんにはきちんと規定を読み、条件に合う選曲をしてください、と伝えたいです。
舞台袖で手が冷えて指が動かなくなってしまったことはありますか。
どのように対処しましたか。
また、指が冷えないオススメの方法があれば教えてください!
子供の頃は手袋やホッカイロを使用したことがありますが、手汗をかくだけで私にはあまり意味がなかったです。ですが正しい基礎を学び、指を鍛えてからは冷えに関係なく動くようになりました。今も緊張すると冷えはしますが、特に問題ありません。本番直前に手がベタついている時は冷水でサッと手洗いすると汗が止まるので、すっきりした気分でステージに立てます。
本番前のルーティンはありますか。
(必ず〇〇を摂取するようにする・前日は何時間寝るようにする、など)
本番直前の手洗いは問題ないのですが、内臓が冷えるのは嫌なので、カップ一杯のお湯を飲み、体の内側を温めます。また、その日が晴れていれば日光浴の時間を取るようにしています。
練習のモチベーションが下がったときはどうしてますか?
(生徒さんへのご指導も含めて)
例えば練習していてつまらないと感じた時、それは作品の魅力を感じ取れない自分自身のせいである、と思うようにしています。そのような時は練習を中断し、気力が回復できることをして過ごします。また、日常で頭の片隅にちらついている懸念事項や他の仕事があれば、嫌であっても早めに片付けます。ストレスを溜めないことが重要です。そして、練習時は音色の世界に浸ることへの喜びと感謝を持ち続けます。
ピアノそのものに対してモチベーションが下がっている学生には、自分が本当はどうしたいのか、何をしたいのかを自身に問うように言います。答えが出たらそれをやってみることが最善です。再びピアノを弾きたくなった時に弾くと良いと思います。
演奏時に心掛けていることはありますか?(生徒さんへの助言も含めて)
作品が最も自然な状態でいられるようにするにはどうすれば良いかを常に考えています。1音毎の微妙な感情の違いを自分なりに汲み取り、人に理解できる音色で弾き分け、空間も使いながら連結させることで、作品が要求している表現に辿り着けると思っています。
学生には頻繁に「今このパッセージ(あるいは響きなど)を弾いて何を思ったの?どんな気持ちだったの?」と訊ねています。音に感情や想いが乗っていること、演奏を通して何を描きたいのかを大切にして欲しいです。
インタビューご回答ありがとうございました。
佐藤彦大先生のホームページやSNSもぜひチェックしてみてください。
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